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2005/05/22

ウィスキー

whiskyおかしな映画だった。「笑える」という意味でもあり、「奇異」という意味でもある。

ウルグアイという国自体、よく知らないということもある。そこに暮らしている人たちは、地味で暗いのだろうか? この映画の監督は、二人。その二人が30歳だとは信じられないくらい「地味」な映画だ。工場の建物、機械類、自動車、ホテル、遊技設備等々どれをとっても時代錯誤の古いものばかり。

リゾート地と思われる場所に建つホテルも古く、客室のベッドはきしむ音がする。
がらがらのレストラン、音楽はキーボードの演奏による子どもの下手くそなカラオケ(?)だ。
クレーンゲームの景品は、ぱらぱらにしか入っていない。そのくせ、カジノ(ルーレットだけかもしれないが)があったのには驚いた。

自動車も、エンジンがなかなかかからない。アクセルを何度か踏んでから、何度もキーを回す。一度は、女性に「おしがけ」をしてもらっているくらいだ。

ユダヤ教なのか、墓地のある教会には「ダビデの星」が屋根にあった。

主人公のハコボは、無口なこともあるが、どうも気持ちがわからない。彼の工場従業員マルタを従業員としかみていないなら、なぜ「妻の役」など頼んだのだろう。本人に悪意はなくても、特別なことを誰かに頼む時には、相手がどううけとめるか、ということもよく考えて言動したいものだ。

ハコボが、たとえわずかでも形通りの行動ではなく、真心を持って、ごたごたに巻き込んだマルタに「感謝」の態度を示していたら、結末は違ったものになっただろう。彼は、結局「自分勝手」なままだった。
多少の揺れはあっても、以前と変わらない心情でいるのは、おそらくハコボだけだろう。

マルタは、ブラジルへ帰るハコボの弟エルマンに「機内で読んで」とメモを渡している。
それは、ハコボがマルタを利用して「体裁を繕おうとしたこと」=嘘を告白するメモに違いない。

マルタは、工場へ現れず、工場の機械は停まる。ハコボが、その意味を理解することはないだろう。
隠喩的な映画で、好みは別れそうだ。

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「映画・テレビ」カテゴリの記事

コメント

■マイコさんへ
なかなか「渋い」映画だったのですけど、
どうしてどうして、ひねくれたような「笑い」が込められた部分もたくさんあって、戸惑いも感じましたが、さすがに共産圏とあって、何もかも「古めかしくて、疲れている」風情には、びっくり!
それでも、人間のおかしなところって、世界共通なものがあるかも…。
監督が30代で、この作品では、あっという間に「枯れた」作品が作れそうです。

投稿: あかん隊 | 2005/11/19 02:58

はじめまして、こんばんは。
トラックバックありがとうございます。

ラストは謎めいたカンジで終わったので、どうなったんだろう??と一人で悶々としております(笑)

ウルグアイ映画もなかなか味があって良いですね。
これからに期待です!!

投稿: マイコ | 2005/11/19 01:35

■double face-dさんへ
TBとコメントをありがとうございます。
30歳で、この「枯れ具合」(?)では、末恐ろしいものがありますね。
年齢・性別等、観る側の立場の違いが、ラストへの思いの違いにもなっているかもしれませんね。

投稿: あかん隊 | 2005/10/31 17:46

TBさせていただきました。
ラストに関しては、いろんな想像がありますが、ラスト直前にタクシーの中でマルタが流した涙。そこは、本当にリアルに伝わってきました。
あの涙、監督は30歳と聞きましたが、よく女性のあの涙を描いた!とそこにばかり感心です。

投稿: double face-d | 2005/10/31 14:54

■るるる@fabさんへ
TBとコメントをありがとうございます。
ニフティのブログサーバーも時々不調になっているので、お手間をおかけしたかもしれません。ごめんなさい。
ハコボには、終始イライラさせられましたから、マルタの気持ちは、同じ女性として理解できる部分が多くありました。「いい人」というだけでは、解決できないことがたくさんあって、そうなると結局「いい人」じゃない…ということにもなるような気がしています。大人の映画でしたね。特にラストシーンの印象は、人それぞれ、かなり違っていて当然だと思います。

投稿: あかん隊 | 2005/09/19 00:49

あかん隊さん、こんにちわ。
先日コメント残そうと思ったんですけど、どうもうちの環境とココログは相性が悪いらしく、上手くできない場合が多くて・・・今日は大丈夫かなぁ、心配です(笑)
ハコボ、こうして映画で観ている限りでは可愛い奴なんだけど実際にいたら多分マルタのように呆れてしまうんじゃないかしら、って感じました。これ、かなり大人な映画ですよね、人によってラストも感じ方が様々ありそうです。

投稿: るるる@fab | 2005/09/18 15:17

>M NO ZANJITUROKU さんへ
コメントありがとうございます。TBは、関連する話題を取り上げているブログ記事の連携です。TBを通じて他の方の評価や意見を知ることができる、という意味が強いので、コメントとは意味合いが違うと思います。
意見は、いろいろあるのがおもしろいと思っています。だからといって、ひとつひとつの意見に対して「なぜ」「どうして」という理由づけを求めることには、違和感を覚えます。ごめんなさい。この話題は、これで終わりにしてください。お願いします。

投稿: あかん隊 | 2005/06/02 23:08

>あかん隊さんへ
1つめはお礼です.TBについて私は無知でした.ありがとうございました.でもまだよく解かっていないようです.これを使うと「あかん隊」さんのコメント内容を踏まえて返信できないし.どうせならコメントとTBを1つにまとめちゃえばいいのに.といってもこれはNIFTYさんへいうべきことですね.2つめはビックリしたことです.あの国が「枯れている」とは思いませんし,30代監督のこの映画は先進国の視点からしても注目すべきものと思うからです.私は現在のアメリカや日本のほうが異常であると感じています.ウルグアイでも,南欧でも,その土地に根ざした生活の営みが進んでいると思います.たとえ政争・ゲリラ・過激な運動が最近まであるとしても.この作品はそんな地点から過剰な日本(モノ・ゴミ・オト・ヒカリ・スピード・ホウソウ・コマゴマ)の今日を射抜いていると思います.「シンプル」で「スロー」なことは素晴らしくないですか?なぜ「やや憂鬱」になるのですか?3つめは「うん?」と考え込ませてくれたことです.「母性」,「失望」は私にはまったくわかりません.「諦観」,「嫌悪」には,「アッ!そうか!」と気づきました.でもこれはわれわれがこのヤマトに長い間生存してきたからではないですか?あちこちの土地ではもっとはっきりした「決意」,「矛盾する悩み」が普通じゃないですか?そうでなければこの映画は凡作でしょう?といって「怒り」が的確という自信もありませんし.いろいろ考えてみます.

投稿: M NO ZANJITUROKU | 2005/06/02 15:49

>えいさんへ
コメントをありがとうございます。
主人公には、感情移入できない設定になっている…というか、マルタにすら感情移入できない部分があったように思います。
何にせよ、ウルグアイという国には、案外主人公のようなタイプの人が多いのかも。映画という表現自体にも、どこか抑圧されたようなものを感じてしまっていました。「笑ってごまかす」(ウィスキー)しかないのか…って。

アクセスについては、すみませんでした。nifty のサーバーが重かったので、自分は、適当なところでgive up してました。nifty のこととはいえ、ご迷惑おかけして申し訳ありません。(コメントは調整いたしました。大丈夫です)

投稿: あかん隊 | 2005/05/31 01:09

こんばんは。

なんだかすっきりしない映画でしたね。
作品のテイストはもちろんのこと、
主人公に感情移入できないものだから、
よけいフラストレーションがたまりました。

(今日、こちらへのアクセスにすごく時間がかかり、
あせったあげく先ほど『クローサー』に2重投稿する結果となってしまいました。
もうしわけございませんでした)

投稿: えい | 2005/05/30 22:42

>jajaさんへ
TBとコメントをありがとうございます。

>ハコボってほんと変なやつですね。
でも結構こういうやついるのではないか

確かに。そして惹かれる女性がいる、というのも納得です。(笑) 子どもっぽくて、不器用で…。母性を刺激するタイプなのかもしれません。騙されないぞ!>意味不明

投稿: あかん隊 | 2005/05/30 21:37

>M NO ZENJITUROKUさんへ
コメントをありがとうございます。「独断と偏見」でよろしいのでは? 個人的な意見でなければ、おもしろくないと思います。いろいろな方のいろいろな意見があることを知る機会(ブログ)が、できて楽しいのです。>自分は。

投稿: あかん隊 | 2005/05/30 21:33

TBありがとうございました。こちらからもTBさせていただきました。(勢い余って2回ボタン押しちゃったみたいです。申し訳ありません。ひとつは削除しておいてください)。ハコボってほんと変なやつですね。でも結構こういうやついるのではないかと思います。そしてこういう変なやつに惹かれてしまう女の気持ちもわかるような気がします。

投稿: jaja | 2005/05/30 21:24

いろいろ参考になりました.私もこの映画について感想をブログに送りました.独断と偏見で.まだ腑に落ちないところもあります.できたら私の感想に注文をつけてください.URLは下記の通りです.
http://kmotoji.way-nifty.com/m/

投稿: M NO ZANJITUROKU | 2005/05/29 17:35

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