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2005/10/16

亀も空を飛ぶ <岩波ホール>

tuetlescanfly最後に残ったのは、果たしてパンドラの箱…「希望」なのでしょうか。静かな、けれども強い怒りにも似たメッセージを受け止めたようでした。「怒り」と言ってしまうのは、少し語弊があるかもしれません。「反省」を促しているのかもしれません。うまく言い表すことができません。このような映画が、製作できたことすら「奇跡」のようです。

えいさんお勧めの映画です。「イラク」のバフマン・ゴバディ監督は、クルド人。チラシの全面に写る少女のまなざしを見ていたら、胸が騒ぎました。ぐずぐずしてはいられない、観ておかなくてはいけない…と。

ここで、予告編を観ることができます。(ただし、言語はアラビア語?、字幕はフランス語です)
http://www.rottentomatoes.com/m/turtles_can_fly/trailers.php

印象的かつ象徴的な映像シーンを観ることができます。日本語字幕での予告編は、なさそうです。
ストーリーも、映像も、ご自身の目と耳で確かめていただきたい映画です。

亀も空を飛ぶ…のではないのです。亀は、もう「空を飛ぶ」ことでしか、このあまりにもむごい現実から「解放」されることがない、のです。

この少女の表情をどう受け止めたらいいのでしょう。登場する子どもたちは、肉体的にも、精神的にも、信じられないほどの過酷な運命を背負っています。彼の地に住んでいた、この時代に生まれた、というだけで、彼らは、なぜこんなにも「過酷」を受け入れなければならなかったのか、否、ならないのか…。これは、現在でも進行形であることなのだと重くのしかかります。それでも、子どもたちは「生きる」ことを望んでいると感じます。「生きろ!」と言われなくても。悲惨な中にも、「生命力」もイメージすることができました。不思議です。

自然な表情を浮かべている少年たちは、それぞれに個性的で、ときとして子どもらしく「泣いたり」「ぐずぐず言ったり」「ちょっとナマイキ」だったりします。それは、子どもならばごく普通のことなのに、とても新鮮に感じられます。ともするとドキュメンタリー調で重苦しくなりすぎる空気の中に「笑い」の要素も織り込んだ、すばらしい映画でした。

えいさん、ご紹介くださってありがとうございました!

※日本イラク医療支援ネットワーク(http://www.jim-net.net/)の募金箱がロビーに置かれていました。
悩みましたが、パンレット購入の代わりに気持ちだけ(自己満足程度)、募金をしてきました。

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「映画・テレビ」カテゴリの記事

コメント

■purple in sato さんへ
TBとコメントをありがとうございます。
このところ、「危機感」を感じる知識人(?)が、多いのかもしれません。センシティブな人は、敏感に「これではいけない」と感じているのかもしれませんね。
それだけ、世の中、どうもおかしくなってきているようです。怖いような気もします。

投稿: あかん隊 | 2006/01/31 03:45

あかん隊さん、こんばんはぁ。
TB&コメントありがとうございました。
年明けから「争い」をテーマとした作品が目白押しのようですね。
本作を観るのが、だいぶ遅くなってしまったのです…が、印象深い作品でした。
明日と言う日に、一滴でも「幸せ」があることを
祈るばかりです…。
では、またおじゃまさせてもらいますねぇ♪

投稿: purple in sato | 2006/01/31 00:59

■ミチさんへ
こういう世界に生きている子どもたちから見れば、日本の状況は、信じられないくらい「生ぬるい」ものに思えるでしょうね。人間は、もしかしたら、基本的には「野蛮」な生き物なのかもしれない…子どもたちは、違うのに…とも思えてしまいました。辛かった。。。

投稿: あかん隊 | 2005/11/18 15:48

こんにちは♪
やっとこちらで公開されました。
衝撃が大きいです。
こういう映画を見ると「じゃ自分は何が出来るの?」って考えて無力感を感じます。
それでも見ずにはおけない映画です。
あんな幼いアグリンを・・・と思うと男性に対して吐き気をもよおしそうでした。
あの兄妹の瞳の暗さは絶望を超えていましたね。

投稿: ミチ | 2005/11/18 15:09

■toyzさんへ
ご訪問ありがとうございます。
コメントもいただけて、とても嬉しいです。
とても「辛い」映画です。でも、観て良かったと、きっと思えるはずです。
言葉が、全然わからないので、字幕への依存度が大きいのですけど、それを補って余りある「語る映像」のすばらしさがあります。心のどこか深いところへ、ずしん!と来るんじゃないでしょうか。
また、どうぞおいでくださいませ~。

投稿: あかん隊 | 2005/11/02 01:39

お邪魔します。コメントありがとうございます。
この映画、今日チラシを見かけて、タイトルからして気になってたんですよね。
記事を見て、スゴク観たくなりました!
またいろいろ参考に遊びに来ます。

投稿: toyz | 2005/11/02 00:57

■ナカムラ ユエさんへ
TBとコメントをありがとうございます。
「知る」ことの大切さを考えさせられました。このような映画が、公開されたことにも感慨を覚えます。広い視野を持とうとする姿勢があることは、大事だと。
ロシア映画の『太陽』も、公開されないかなぁ…。

投稿: あかん隊 | 2005/10/27 11:23

ご訪問&コメントありがとうございました。
お礼が遅くなってしまいたいへん申し訳ありません。
拙文でたいへん恐縮ですが、私もTB送らせていただきます。

投稿: ナカムラ ユエ | 2005/10/26 08:56

■ナカムラ ユエさんへ
初めまして。コメントをありがとうございます。どうぞよろしく。
ともすれば、ドキュメンタリー風で、限りなく暗いものになってしまいそうなところなのに、なぜか「逞しさ」や「ほのぼのとした空気」まで、記憶には残るのが、とても不思議でした。バフマン・ゴバディ監督は、まだ30代。注目していきたいと思います。

投稿: あかん隊 | 2005/10/20 20:21

初めまして。
私も今日、この映画を観てきました。
上映終了後、劇中の日常と私がいま置かれている日常とのあまりのギャップにしばし呆然としてしまいました。
多くの方に観ていただきたい映画でしたね。

投稿: ナカムラ ユエ | 2005/10/20 18:41

■えいさんへ
コメントをありがとうございます。
ご紹介いただいて感謝しています。観ておかなければいけない映画だと思いました。(観てから言うのも変ですが…)

あの映像の感覚は、どこからくるのでしょうか。ともすれば、陰惨きわまりないものに偏向してしまいそうなのに。とても強いパトスのようなものが、全体から陽炎のようにゆらめいている気がしました。人を寡黙にさせる力がある映画だと思います。

なんといったらいいのか、言葉が見つからない…、というのが本当のところです。

投稿: あかん隊 | 2005/10/18 01:18

■snowflower_001さんへ
おおー! なんともったいないことを。
『父と暮らせば』を観たのもここです。
確か『山の郵便配達』(?)もここで上映されていたと記憶が…。今回は、会員募集があるのを知って、会員になりました。(2年で2000円、割引の他、お知らせも送ってくれます)

お近くなら、ぜひご覧ください。並の衝撃ではすまないでしょう。泣き虫の自分が、泣くことも忘れていました。
編集・出版関係のお仕事…だったでしょうか? あの辺りは、歴史のある出版社や書店が大小さまざま、たくさんありますね。自分も仕事で、一時うろうろ通っていたことがあります。村田簿記にも3ヶ月行っていたことが>謎。

投稿: あかん隊 | 2005/10/18 01:08

こんばんは。

この映画がもたらす衝撃度は
本年度屈指のものだと思います。
ここに登場する子供たち、
その<生きる>姿を見ていると、
さまざまなことを思わずにいられません。
でも、それらを言葉にすると
いかにも安っぽくなってしまいそうで怖い。
クルド人の置かれた社会の<現実>を描きながらも、
寓話性を帯びた<物語>としても見せきってしまう。
この監督の力量に、
ただただ圧倒されました。

投稿: えい | 2005/10/17 23:55

こんばんはー!
岩波ホールって、私の会社のすぐ近くにあるんですよね。
堅実で上質な映画が多いので、気にはなっているのですけど、
まだ一度も見に行ったことがない……。
灯台下暗しとはよく言ったもんです(苦笑)。

あ~でも、戦争映画。見るのに覚悟がいりそうで、気軽には行けないかなぁ。
昔見た『少女の髪留め』はとても感動しましたが。

投稿: snowflower_001 | 2005/10/17 23:39

■たいむさんへ
公開されたら、きっと観てください。そして、感想を聞かせてください!

重荷を背負って生きている「亀」は、空を飛んでしまいます。観ているうちは、引き込まれてしまっていて、泣くことすらできませんでした。

朝日新聞9月ですか? もしかしたら、まだあるかもしれないので、ちょっと探してみますね。

投稿: あかん隊 | 2005/10/17 21:03

あかん隊さん、こんばんは。
実は朝日新聞で紹介されて以来、登場するのを待っていました。先月17日からの公開だったと思うのですが、知っている限りではどこにも登場しなくって(探していないとも言うけれどw)
新聞掲載は9月の1ケタだと思いますが、残念ながら切り抜きしかなくて正確な日付が分かりません。
当然のようにこちらではまだ影も形もないものです。
「亀」は”赤子を背負う少女であり、クルド人そのものである。”甲羅のように重荷を背負って生きる姿のイメージ、とのこと。
何時になればこちらで上映されるのか分かりませんが、今の戦争を観なくては、と待っているところです。


投稿: たいむ | 2005/10/17 20:50

■RINさんへ
『トゥルーへの手紙』、たしかワンちゃんたちが主役ですよね? RINさんが見逃すはずないなー。

難しいんです。少しは、知ることができるし、これじゃいけない、と思うこともできる。
でも、実際に何ができるかっていうと、今、この時点では、何もできない自分がいるわけです。
募金もチャリティも、そういった活動をするNGOもNPOも草の根も…一体、誰が本当に、彼の地の子どもたちを思いやっているのか、真実の活動をしているのか、わからないんです。みーんな胡散臭い! 他に何かできることがあるのかなぁ…。無力だ。

投稿: あかん隊 | 2005/10/17 00:55

私も今日、予告編を映画館で観ました。
「トゥルーへの手紙」で、何度も「戦場を体験
したものは、もう前とは同じ感覚に戻れない」
というようなメッセージが流れました。
戦争をリアル体験せざるをえない子供達が
世界中からいなくなる日を心から望みます。

投稿: RIN | 2005/10/16 23:57

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