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2006/02/18

アメリカ,家族のいる風景〈Don't Come knocking〉(20060218)

dont_come_knock公開初日、初回上映に出かけた。だいぶ復活してきたかな、気力。
どうしても、早く観たかった。期待以上。これは、たいへん好みの映画だった。この映画を制作している途中で『ランド・オブ・プレンティ』を制作したのかな、などと思う。

すべてのシーンが、スチールになりそうな構図を保持している映画は、なかなかない。後ろ向き、背中のバストショットからカメラは、パンして360度回る。それも、一度ではなかったりする。媚薬のように、音楽と色彩と風景が、人物を際だたせながらも、自然に、美しく調和する。みごとだ。

人気のない街中のシーンなどは、キリコの絵画のごとく不思議なバランスを持つモダンな空間にしあがっていて、映像や音楽とともに、まるでデザインされた空間に放り出されているようだ。それでいて、感情は緊張し、高まっているのがわかる。なんといったらいいのだろう。この感覚。

この映画でも「窓」は重要な意味がある。窓から外を、外から室内を…。
路上に放り出され、めちゃめちゃに壊れた家具類、その中のソファに座るハワード。このシチュエーションもたまらない。実におしゃれだ。ぞっこんだ。

『パリ、テキサス』もたいへんな評判だったらしいが、そちらは未見。その映画で脚本を担当したサム・シェパード氏。今回は、脚本だけでなく、主演している。これがまた、すばらしい。ルックスも、声も、とても魅力的。

脚本がいいのが、すごくよくわかる。無駄なシーンは、ひとつもない。しかも、すべてのシーンに、気持ちが込められている。…と手放し。 このところ重いテーマの映画が多かったし、辛い思いが残るものが多かった。だから、余計に、不思議な明るさと暖かさを感じられるこの映画に、安堵したところも大きかったのだろう。

「孤独」の果てであろうとも、気がついて、真摯な気持ちを表すことができれば、そこには「繋がり」と「寛容」があって、暖かく包み込み、「安心」を与えてくれる。ここでも、物静かなスカイ(サラ・ポーリー)は、積極的に主人公を救うことで、自分自身も救われる…と知っている。

適度に自然な「笑い」も含んでいて、ほっとする。誰か特定の人物に感情移入することなく、俯瞰的に観賞していられたことも、気分をよくした要素のひとつだったかもしれない。

ヴィム・ベンダース監督は、「本当のやさしさ」を知っているのだと思う。暖かさが、浸みてくる。
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「映画・テレビ」カテゴリの記事

コメント

■睦月さんへ
お忙しいのだろうと想像していましたよ。
睦月さんこそ、がんばり過ぎて、へこまないようにしてくださいね。(笑)
コメント、本当にありがとうございます。
岩手のご出身だったのですか? あか抜けた感じでしたので、すっかり東京の方かと。
自分は、函館です。北国の人は、なぜか他人と思えなくて(爆)。
ヴェンダース監督は、やさしい方なんですね。
「郷愁」を感じる故郷を持つ人は、どこにいてもセンシティブなメッセージを発信できるのだなぁ、と思いました。ほんわか、暖かかったですね。

投稿: あかん隊 | 2006/02/27 23:55

あかん隊さん!コメントありがとうございました!『カリスマ映画論』管理人の睦月です。あまりの忙しさと疲れで、TB&コメントのお返しを溜め込んでおりました・・・遅れてしまってすみません。あかん隊さんも、ホントに忙しい日々をお過ごしのようですね。無理はされないでください。
私、岩手出身なのですが・・・なんだか田舎に帰ったような居心地のよい作品でした。
あまりにも美しい色彩のためか、あの町だけすごく幻想的な世界観に感じてしまいましたよ。綺麗でした、ホントに。女の母性が光り、男性の子供っぽさにおもわず微笑んでしまう・・・なんだかそんな優しい作品でした。

投稿: 睦月 | 2006/02/27 15:12

■現象さんへ
コメントありがとうございます。自分も、現象さんのレビュー、拝見してきたところです。(笑)
この映画、女性のための映画かもしれません。ハワードのように極端なことはなくても、男性諸氏は、「母親」「恋人」「娘」…といった女性たちに支えられているものなのかもしれませんし、女性たちも、それを「良し」としているようなところもありますしね。
男性よりも女性に、評価されそうな気がしています。

投稿: あかん隊 | 2006/02/22 21:56

見てきました。
感想は…うーんヴェンダース!
そうかいヴェンダース!なんていうか、うまく言えませんでしたw
しかし画はほんとどれもスチールになりそうですよね。
若くて流行にのって勢いのあるオシャレさんのそれでなくて、
センスのある粋なオシャレな映像、シーンがふんだんに盛り込まれていました。
普遍のおしゃれっていうんですかね。

投稿: 現象 | 2006/02/22 21:34

■現象さんへ
コメントありがとうございます。
良かったですよ。自分としては、大満足でした。このあと、『クラッシュ』を観ましたが、しばらく、こちらの映画をトップにしておきたいと思ってます。

投稿: あかん隊 | 2006/02/20 01:22

おー、さっそくですね!
サム・シェパード、主演だったんですか。
それは知りませんでした。
と思って調べてみたら、
脚本家よりも役者としてのほうが映画に携わってるんですね彼。
勉強になりました。
僕も今週中に行くつもりです。
というわけで、今日のところはチラ見だけ^^ノ
観賞したらまたじっくり記事を拝見させていただきます。

投稿: 現象 | 2006/02/20 01:13

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