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2006/11/29

パプリカ(20061128)

200611img013失敗。
これは、原作を先に読むべきではなかった…。

仕事の間をぬって、ささっと出かけた。
もたもたしているとまた逃してしまう。
目覚めると消える「夢」のように。

しかし。
期待しすぎていたのか、それとも何か別の要因が?
自分にとっては、「素晴らしい」とは言えなかった今作。なぜだろう。比べてはいけない、これはこれで…と思っていたのに。

見どころはたくさんあるので、原作を知らない方々には、とてもおもしろいだろう。でも、ちょっとペースが速いかな。悪意の夢に侵入されて、意識が混濁している人物の言葉が、ものすごく早口だから、そうと気づくまでには、それまでの(たとえ意味不明にせよ)言葉が消えてしまっている。夢と現実の錯綜は、観客には区別がつきにくい。それが持ち味だ、とするなら、それはそれでいいのだが、どうにも納得できないことが多過ぎるだろう。

原作を読んでいなければ、DCミニがなんなのか、よくわからないまま観賞してしまった…ということもあり得る。確かに、夢に現れる様々なヴィジュアルは、さすがの迫力。しかし、これも同じ映像を何度も露出(まるで、間違い探し?)させてしまっては、驚きは次第に薄れる。

比べてはイケナイと思いつつ、『イノセンス』での国籍不明のパレードは、力の入れ方が違っていたとも感じているし、もっともっと印象的だった。

個人的にだが、一番気になったのは、アフレコと動画の口の動きのバランスの悪さ。まるで音声だけ別に流しているのか、とさえ感じてしまった。実力のある「声優」本職の方を起用しているので、安心ではあるが、『攻殻機動隊』で慣れてしまっている大塚さんと山寺さんが、善玉と悪玉になってしまうのには、やっぱり違和感が…。

先入観なしで観賞される方々をうらやましく思う。きっと、すてきな作品に思えるだろう。
色指定は、さすがに素晴らしい。音楽もキッチュで、明るいラストを彷彿とさせる。

パプリカと千葉敦子を同画面で会話させるとは…。これが、ちょっといただけなかった理由かもしれない。巨大化した悪玉は、『もののけ姫』の「でいだらぼっち」(?)を彷彿とさせる。もう少し、違ったイメージ、異なるビジュアルの形態をとれなかっただろうか?

市松人形は、『イノセンス』でも見慣れてしまっていて、不気味さを醸すにはこれ!、という定番意識でもあるのだろうか、と疑ってしまう。外国向けには、受けるかもしれないが。

90分という時間枠の中、何から何まで急展開である。夢に侵入される不安、恐怖…のようなものは、さほど感じられず、主人公のちょっとした「抑圧」下にあった、恋心(本心?)があらわになることが、主題であるかのようだった。だが、とにかく、イマジネーションを総動員させる原作の持つ爽快感は、いくらか継承されていたし、複雑きわまりない「言葉」によるイメージをアニメにせよ、具現化した試みとしては、評価できる。

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「映画・テレビ」カテゴリの記事

コメント

■ぬえさんへ
コメントをありがとうございます。今頃…なんて思いませんデス。
まだまだ、記憶に新しく、印象もまざまざと残っております。
ヴィジュアルは、よかったですね。あ、音楽も。
アニメはアニメで楽しむべきだと多少反省もしておりまして。(^^;)

投稿: あかん隊 | 2007/01/24 03:50

こんばんは。
今頃なんだとお思いでしょうが、遅ればせながらやっと観てきました。
原作読んだ人はやはり同じような感想を持つでしょうね。
でもとにかく映像がすごかった。アニメーションでよくここまでと思います。なので私はけっこう楽しめた方でした。

投稿: ぬえ | 2007/01/23 21:51

■ノルウェーまだ~む さんへ
こちらこそ、どうぞよろしくお願いします。
TBとコメントをありがとうございます。(TBはうまく反映されていないようで、すみません。あ、どうぞお気になさらずに)
リプレイが多いシーンで、ちょっと残念でした。心理学から言うと、あれでいいらしいのですが(ほんとか?)、アニメ制作に関わったことのある自分としては、ちょいと不満が…。(爆)
筒井氏は、出たがりですからねぇ。(^^;) 監督も、影響されたのかも。

投稿: あかん隊 | 2007/01/19 23:21

はじめまして
TBさせていただきました。どうぞよろしくお願いいたします。
私も、悪玉の「でいだらぼっち」は、どんなもんかいな?と、もう少し今敏監督の有り余る才能をあそこで出すべきではなかったかと思いました。
原作の筒井氏は、バーテンの背の低い方の声をやっていらしたそうですよ。となると、背の高い方は今監督なのではないかしら…

投稿: ノルウェーまだ~む | 2007/01/19 16:42

■はらやんさんへ
TBとコメント、いつもありがとうございます。
ゆっくり考えるのは、後からで良いかもしれませんね。(^^;)
「駆け抜ける」のも、このアニメの味わいだったような気がします。

投稿: あかん隊 | 2006/12/16 16:52

あかん隊さん、おはようございます。
コメント&TBありがとうございます。

映画自体が短い割に情報量が多かったので、消化しきるにはもう一度くらい見た方がいいような気もしました。
見ているときは深層心理的な意味みたいなのを感じようとうんうんうなりながら見てしまいましたが、単純に映像に溺れてしまった方がよかったかもしれません。
失敗したかも・・・

投稿: はらやん | 2006/12/16 08:44

■ケントさんへ
ありがとうございます! TBのお返しは、できたと思うのですが、コメントがうまく入らなかったかもしれません。ごめんなさい。また、あとで確認してみます。(^^;)
あの曲は、なかなか良かったですね。「パプリカ」にぴったりでした!
夢の映像、スロー再生でじっくり観てみたいかも(爆)。

投稿: あかん隊 | 2006/12/14 08:31

■はっちさんへ
こちらこそ、ありがとうございます。
ええ、ええ、とてもノリの良い曲がかかっていて、テンポよく、健康的に、もしかすると本当は怖い夢のお話…が明るくなっちゃってました。
チャンスがあれば、もう一度観ようかな♪。(爆)

投稿: あかん隊 | 2006/12/14 08:28

こんにちはTBさせてくださいね。
いやはや不思議な映画でしたが、音楽と映像が良かったですね。アニメにはもってこいの作品だと思いました。

投稿: ケント | 2006/12/13 21:13

TBどうもでした~♪
動画の疾走感なんかは凄いんですよねぇ~♪
話も大人のためのお話って感じでよかったです。
ただ、ついていけませんでした(^^ゞ

投稿: はっち | 2006/12/13 19:58

■カヌさんへ
わー、カヌさんが、これを観賞されるとは思いませんでした…って、先入観でしょうか?(^^;)
そうそう、原作は、もう少し「サスペンス」でしたよ。意味ありげな台詞は、やや具体的だったりします。文庫は、さほどのページ数ではないのでイッキ読みできます。(笑)

投稿: あかん隊 | 2006/12/11 04:33

■Babi Kaoruさんへ
TBとコメントをありがとうございます。
そうですね。万国のありとあらゆるものを、それこそカオス状態にぶちこんで、狂乱させたような迫力のある、それでいて美しい映像でした。
粉川警部のトラウマシーンに、もう少し変化のある映像を重ねてくれたら…とは思いますが、まあ、反復させるのも意図したことであったかもしれませんし。おお! DVDで踊りまくりますか? 夢か現実か、わからなくなりそうですね。(^^;)

投稿: あかん隊 | 2006/12/11 04:31

■かねたんさんへ
情報をありがとうございます。早速読んできました。
「筒井ワールド」をしっかりベースにしている雰囲気は、わかります。
市松人形を不気味さのメインにしている、と受け取れたので、海外受けが良い理由も、その辺りにあるかもしれない(妙にジャパネスク)のではないか…と思います。論評に「捨てたもの」(「夢」と重なる)の逆襲、というのは、言い得ているかもしれません。

投稿: あかん隊 | 2006/12/11 04:26

こんばんは。映像はアニメらしさがあって
面白いと思ったのですが、あまりにも狭い世界の
出来事にはがっかりでしたよ。
原作の方が楽しめそうですね~

投稿: カヌ | 2006/12/11 00:59

原作本は本棚にありますが…分厚くて読んでません(笑)
私は何かよく判らない展開と映像の美しさ、言葉の響きに面白さがあって
とても気に入っています。
DVDを買って提灯行列みたいに踊り歩きたいです!?(笑)

投稿: Babi Kaoru | 2006/12/10 23:01

Web版産経新聞に評が掲載されていました。

http://www.sankei.co.jp/culture/enterme/061210/ent061210000.htm

投稿: かねたん | 2006/12/10 13:50

■ひらりんさんへ
TBとコメントをありがとうございます!
お話としては、本当におもしろいものなんですけど。自分としても、期待度が大きすぎたかなぁ…、とやや反省もしたりして。(^^;)
飛雄馬やアムロ…再春館…確かです。これまでの「声のイメージ」が強すぎるとなかなかうまく行かないものですね。キッチュな音楽は、スピード感にぴったりでした。ともすれば、暗くなってしまうかもしれない要素はあったのに、明るい雰囲気でまとめてあったのには好感が持てました。

投稿: あかん隊 | 2006/12/03 03:34

トラバ・コメントありがとうございます。
原作も読んでないし、
先入観ゼロで見たので、違和感なし・・・のスピード感。
そういえば、「イノセンス」でも、同じようなパレードのシーンがありましたね。
心理学については、無知なので、DCミニの説明なんかは、
かるーく、流して聞いてました。
でも、飛雄馬と再春館製薬は、気になっちゃって仕方ありませんでしたねっ。

投稿: ひらりん | 2006/12/03 03:23

■とみさんへ
TBとコメントをありがとうございます。
音楽は、キッチュでテンポも良く、映像にマッチしていましたね。
90分だったようですから、短いと言えば、短い。かなり駆け足で展開させていたように思います。それも手法のひとつだったのかも。
同じ映像の繰り返しは、ちょっと辛かったですね。

投稿: あかん隊 | 2006/12/03 03:11

 あかん隊さん、こんにちは。
 TBさせて頂きました。
 私も、何度も似たような夢の映像が出て来たので、途中、ちょっと飽きました。
 音響がけっこう良かったと思いました。一度、映画館のスピーカーから出る音が、あまりにも臨場感があったので、客席で誰かが話しているのかと思いました。
 最近は、吹替えを声優さんではなく、俳優さんで行う映画が多くなっている気がします。この映画では、声優さんを使っていたのが印象的でした。

投稿: とみ | 2006/12/02 15:45

■とらねこさんへ
そうだったんですか>心理学。
専門的に勉強したことはありませんが、かなり興味があって、いろいろな本は読んでいます。原作は、超がつくくらい、壮快でおもしろかったですよ。
早口のところが、「ああ、浸食されているんだ」と気づくには、時間がかかるだろうと思ったわけです。特に原作を知らない場合は。内容のことではなくて(^^;)。 外国での評判は上々らしいので、オリエンタルなテイストに「歌舞伎」のケレン味を合わせたテイストが良いのでしょうね。どんなことにも功罪がありますが、特に「セラピスト」に関しては、日本では、まだまだ正しい情報が伝わっていないかもしれません。

投稿: あかん隊 | 2006/11/30 19:48

こんにちは!
あら、・・・原作を知っていると、なんだか楽しめない作品だったようですね。
自分は、大好きになってしまったので、これから、原作を読もう!と思っています。
私は、あの早口な言葉のところは、“あまり意味のないもの”と解して、音楽的なものとして楽しんでしまいました。
夢の中で、おそらく自分にしか分からないような、無意識の中にあって溢れ出てくるセリフ。
自分は、実は、心理学を勉強したことがあります。
この作品は、原作を知らない人には、どうやら難しすぎる作品のようです。
また、このDCミニが行っている内容は、心理療法についてあまり理解のない人には、難しいのかもしれません。
うーん・・・寂しいな(泣)

投稿: とらねこ | 2006/11/30 14:45

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