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2006/11/10

栄光なき凱旋(上・下)

200611img003 真保裕一 著(小学館)

1冊超600ページで、上下巻。登場人物のひととなりを、それぞれ把握するのには、さほど困らなかったが、話の先が気になって、気になって…早く下巻を読みたいばかりに、猛烈な勢いで読破。

印象的な部分には、付箋をして、再確認しながら読み進めた。ドキュメンタリーではなく、ドラマなのだが、時空軸が彼の大戦とリンクしているせいか、妙にどきどきしていたように思う。

真珠湾攻撃の直前あたりから始まる物語。移民として米国に暮らしていた日本人たちの物語だから、辛いことこの上ない。実際、米軍に志願しても、日系は受け入れられなかった時期があったのだろう。通訳として従軍するジローは、戦地で日本兵と遭遇し、米軍兵士としての任務を遂行する。それには、また別の、ジロー個人の問題が深く関わっていることでもあるのだが。すべての財産も権利も没収されて、居住区(収容所)にいても、ヘンリーは「自分は、アメリカで生まれた、アメリカ国籍を持つ、アメリカ人だ」と主張して、いろいろな苦難を乗り越えなければならなくなる。ハワイに住んでいたマットは、白人女性との恋愛を、やがて成就させるのだが、彼だけには、明るい雰囲気があった。

実に、いろいろな日本人、対するアメリカ人が登場する。が、こうした時、被差別側の人間は、どうあるべきなのだろう。ここにも、傷つき、その傷を背負っても、生き抜こうとする若者がいる。故郷を愛する、それでも憎む。複雑な思いが、それぞれの登場人物たちに去来しているのがわかる。戦争は、関わる人間をことごとく不幸にしていくもののように見える。

テキサスの日系人』というドキュメンタリーを知っている。これを読んだ時には、辛くて泣いた。(手前ミソのようだが、この本は、自分が組版などを手がけたものだったから、思い入れがあるので、今でもときどき読み返している)

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コメント

■ミチさんへ
量的にも読み応え十分でしたね。(^^;) 自分もほぼ2日で読破しましたが、ほとんど徹夜だったかも。<んなことするから、調子が狂う
カヌさんからお勧めのあった本のうち、ひとまず「ホワイト・アウト」を準備して、読む態勢に。でも、なかなか着手できません。(泣)
先入観があるかもしれないのですが、山崎豊子の本は、いくつか読んだ時点で、「この人、くどいなぁ」って、敬遠するようになりました。
現在、京極氏の分厚いのが2冊に、浅田氏の「中原の虹」も2巻目が出て、他にも(ミチさん同様に)本が山盛りになってます。あー、読まなくちゃ…。

投稿: あかん隊 | 2006/11/30 19:41

こんにちは♪
やーっと読み終えました。
上巻でもモタモタしちゃったんですよ(泣)
真保さんの本は夫婦揃って読んでいます。
カヌさんおススメの本はどれも面白いですよ。
最近はちょっと面白くないものもあるなと思っていたら、「栄光なき~」で復活!って感じがしました。
これが代表作になるのかもしれませんね。
似たテイストの山崎豊子の「二つの祖国」は未読なので読んでみようかなと思いますが、まだまだ本が山積み状態でいつになったら手に取れるのかしら。

投稿: ミチ | 2006/11/30 09:37

■カヌさんへ
早速ご紹介ありがとうございます! 嬉しい!
「ホワイトアウト」は、映画を観ていないのです。良かった。読んでみます。役人シリーズ(?)、その世界が、少しでもわかるならおもしろそうですね。本に埋もれた生活、幸せです。(^^;)

投稿: あかん隊 | 2006/11/13 11:05

真保裕一はテーマにするものが多種多様なので、
人の好みによって感想が変わってくると思うのですが、
手に汗握るアクションなら、やはり「ホワイトアウト」。
映画見たことあれば、それは忘れて読んだほうがいいです(^^;

小役人シリーズと言うのがあって(正式名称じゃないと思う。)、
初期の頃の作品は、主人公が何かの役人なんです、例えば
食品衛生監視員とか。これは「連鎖」「取引」「震源」など。
このあたりの作品は、知らない世界を知れるという意味でも
好きですね。
違ったタイプですが「誘拐の果実」もなかなか面白いですよ。

投稿: カヌ | 2006/11/12 16:24

■カヌさんへ
自分は、初めてこの本で真保作品に出逢いました。
カヌさん、たくさん読んでらっしゃるんですか? お勧めがあったら教えてください。十二分に調査・研究しているなぁと感じますね。
よろしければ、貸し出ししますデスよ。(笑)

投稿: あかん隊 | 2006/11/12 00:26

こんばんは。
真保裕一の作品、文庫になってるのは結構読んでるんで、
いつか文庫になった時には読みたいと思います(^^;
彼の作品は幅が広いですね、綿密なリサーチしてるんだろうなと
いつも思いますよ。

投稿: カヌ | 2006/11/11 23:40

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「栄光なき凱旋」(上・下)真保裕一 主人公は三人の日系二世の若者。優秀な学生で白人の銀行に就職が決まっているヘンリー・カワバタ。ヘンリーと同じ女性を愛するアウトロー的存在ジロー・モリタ。ハワイ在住で白人女性と結婚を決めているマット・フジワラ。 日本軍による真珠湾攻撃が彼ら三人の運命を変えていく。 遠く日本から渡ってきて苦労の末アメリカでの生活を定着させた移民一世にはアメリカ国籍は与えられなかったらしい。一世には日本の記憶が�... [続きを読む]

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