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2006/12/05

武士の一分(20061203)

200611img015_1

共感もなく、ベネフィットも何一つ望めない状況で、目的なく近づく…なんてことはあり得ない。こころせよ。

「誰かの為に犠牲になろう」というのは、およそ「自分自身の為」であることを認識しておきたい。

脇を固める人たちが、すばらしい。今回は、特に良い。こだわれば、固く緊張して、限りなく暗くもなりそうなきわどいところで踏みとどまり、ちょっとしたコミカルさをアクセントに挟むあたり、監督のお人柄なのだろうか。

『メゾン・ド・ヒミコ』の「ルビィ」が、殿様になっていた。うまいなぁ。歌澤寅右衛門氏。

「大儀」しか言葉をかけないことに、一瞬絶句したようだったまわりの観客の中で、吹き出していたのは、自分だけだっただろう。あの殿様は、シャイなのだ。

「なんとかしてやろう」「力になろう」…なんてことは、結果がすべて。「ただでは…」というのなら、代引きを利用しよう。eコレクトでもいい。結果や品物より先に代金を支払ってしまうと「詐欺」の被害者になりかねない…ということか?

味のある映像は、健在。日本の原風景としても、安らぐ。縁側、板の間、障子、廊下、道場…などの風情は、そこにある空気さえ、とても日本的なものを感じさせていて、やさしい。

主人公の人となりが、原作ではどうなのか、よくわからないが、どうみても「年上の女房」に甘える亭主だ。
ヒステリックになるのなら、最初から「心配させたくないから言わなかった」なんてことはない。

彼は、武士の一分のために…という。それは理解できる。自身の雪辱なのだろう。妻への愛情からではないと思う。それでいい。本来、人は、自身のためにやろうと思うことをすべきなのだから。

結果的には、騙した側も「命がけ」だったことになる。潔いとさえ思う。腹黒い、救いようのない人間ならば、果たし合いには出向かないだろう。放っておいても良いことだ。そのあたりは、坂東氏、実に巧妙に役を作り、また演じている。さすがだ。

木村拓哉の「三村」を観た。「三村」になった木村拓哉ではなかったが、それは、それで良い。若い才能のある人たちを開花させ、邦画の吸引力とするには、これくらいの「アク」のある人の方がいいのかもしれない。実際、彼をキャスティングすることで、観客の年齢層も拡がり、PRにもなっているはずだから。日本の映画界にとっては、有効なことだ。少なからず、オーバーアクションを感じないではいられなかったが、先入観がありすぎるためかもしれないし。

笹野高史、桃井かおり、岡本信人、緒方拳…素晴らしかった。小林稔侍も良い味を出していた。たくさんの日本の人の心を掴むことだろう。

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「映画・テレビ」カテゴリの記事

コメント

■マダムSさんへ
新年、おめでとうございます。
こちらこそ、今年もよろしくお願いします。
そうですね。私も「思ったよりよかった」のクチでした。(^^;)
三部作なら、やっぱり「たそがれ清兵衛」がいいかな。

投稿: あかん隊 | 2007/01/14 00:39

きゃっ あの殿様!ルビィだったんですねっ
どこかで見たお顔と思ってました・・
ご挨拶が後回しになってしまいましたが、今年もよろしくお願い致します。
駆け込みで今頃見てきましたが、思ったよりは良かったです。
「大儀!」では私も噴出しましたが、ボケてるのかと思ってましたよ(笑)

投稿: マダムS | 2007/01/13 18:17

■はらやん さんへ
いつもありがとうございます! 邦画の大作、あまり良いのがなかったと思うだけに、この映画は、日本人なら文句なく楽しめそうで、良かったな、と思います。「年上の女房」、もしかすると「母性」が、日本人の原点? 「天照大神」からして、女性ですしねぇ。<考え過ぎ。。。
こちらこそ、どうぞ来年もよろしくお願いします。

投稿: あかん隊 | 2006/12/31 21:21

あかん隊さん、おはようございます!

山田洋次監督作品は脇の俳優さんがいつもいい味出していますよね。
今回はセット中心の撮影だったということですが、三村家の縁側で季節の移り変わりがわかり空気みたいなものを感じました。
時代劇三部作に出てくる女性は年下であるにも関わらず、「年上の女房」的な母性を感じますね。
来年もよろしくお願いします。

投稿: はらやん | 2006/12/31 08:41

■とらねこさんへ
すみませんでした。>TB忘れて…(^^;) いろいろありがとうございます。
島田、卑怯なり! とらねこさんって、やっぱり「熱い」いんですね。(^^;) アドレナリンの放出過多は、あんまり身体によくないかもしれませんよぉ。(笑) 三村を舐めていたんでしょうね。ずるいし、卑怯な方法をとっているようですけど、頭良くない感じです。ほんとにずるくて巧妙だったら、もっとうまくやりますよ、きっと。なんとなく、彼も可哀想な人間なんだな、って思っちゃったわけです。

投稿: あかん隊 | 2006/12/16 00:52

こんばんは★
コメント、ありがとうございました。
(TBもくださいねー☆)
>日本の原風景に安らぐ。
そうですよね。素朴な話でしたが、普通の田舎の下級武士の日常。
ほとんど良くあるタイプの時代劇には決して描けないものを、山田洋次って描くんですよね。
そこが凄いなーなんて思います。
私は、島田に関しては少し違う意見だったりします。
目が見えなくなった人を騙すなんて、本当に卑怯だと思いましたし、
目に見えない体で決闘に臨んだ武士を、正々堂々とではなく背後から切ろうとするなんて、・・・
と、かなり血が上りました(笑)

投稿: とらねこ | 2006/12/15 19:26

■ひらりん さんへ
そうですね。木村くんは、剣道をやっていたそうですし、それを活かせるというので、たいへん張り切って役に望んだことでしょう。殺陣のコーチの方にも、「こうやりたい」「これをやってみたい」というようなノリだったらしいです。どんどん自分を顕示していく人なんですねぇ。今の時代の人だなぁと。だからこそ、周りには地味にみえて、しっかりした俳優さんたちを配置したのでしょう。
山田監督の「原点」ここにあり…という雰囲気の映画で、安心して観賞しました。みなさんの評価も概ねよろしいのでは?(^^;)

投稿: あかん隊 | 2006/12/14 08:36

キムタク君の迫真の剣さばきと・・・
脇役陣の台詞回しが・・・
上手かった・・・というところでしょうか。

投稿: ひらりん | 2006/12/14 00:04

■駒吉さんへ
こちらこそ。TBとコメントをありがとうございます。
「大儀」…たったそれだけ? と思う若い方の気持ち、よくわかります。(^^;) 失明に対する(今でいえば労災?)お沙汰は、実に寛大で納得の行くものだったわけですから、今の時代よりずっと「情」のあるものかもしれません。メニューでの「切腹」は、あの時代には、仕方ないことで、それだけたいへんなお役目。うつらうつらと居眠りしているようでは、うまくないでしょう。気の毒でしたけれども。

そうそう。原作は未読ですが、結末は知っています。確かに、元の結末の方が、ぐっときますね。山田監督の手にかかると「つらい」ことも「明るく」終わる…それでいいのかもしれません。

投稿: あかん隊 | 2006/12/13 19:22

コメント&TBありがとうございます。
「大儀」については、そーなのか、と段々思うようになってきました。
就職っていっても命がけが当たり前の時代、メニューの責任で切腹よりは失明はマシな方だった?!・・・大変な時代に大変なお役目だったんですね。。。

あとちょっと心配していたキムタクですが、やっぱり華もオーラもあってよかったです。
特にファンじゃないけど見蕩れてしまったし・笑
でもラストは原作通りの方がもっと泣けたかも~

投稿: 駒吉 | 2006/12/13 17:16

■ルルさんへ
TBとコメントをありがとうございます。
>グループの歌「ありがとう」が浮かび
なるほど。ファンの方ですか?(^^;) 良かったですね。木村くん、健闘されてたと思いますよ。

投稿: あかん隊 | 2006/12/11 03:57

お邪魔します、こんにちは~。
コメントをいただき、ありがとうございます

>実際、彼をキャスティングすることで、観客の年齢層も拡がり、PRにもなっているはずだから。日本の映画界にとっては、有効なことだ

そうですね~。
年齢層は幅広かったです。
初日公開を映画の日にしたのも
そんな狙いがあったのでしょうかね。
思わず、グループの歌「ありがとう」が浮かび
いいのでしょうか?で行って来ました(^^ゞ
(ただ、マナーの悪い方も多くてマイりましたが)

>味のある映像は、健在。日本の原風景としても、安らぐ

とてもキレイに撮られていましたね。
木村君は頑張ったと思いますが
脇の役者さんの力も大きかったでがんす(笑)

ドラマが中心ですが
映画も時々観ますので、その時はよろしくお願いします~。

投稿: ルル | 2006/12/09 15:43

■ミチさんへ
好きな順番は、ミチさんと一緒です!
俳優さんの好きな順番…というより、主人公の人柄かなぁ。

「本棚バトン」
ありがたく頂戴いたしましょう。(^^;)
ミチさんのところへ確認しに行かなくちゃ。

投稿: あかん隊 | 2006/12/08 01:04

■たいむさんへ
>貴重な人材
確かに。自分は、それほど「美形」とも「才能がある」とも思いませんが、集客力はありますよね。

殿様の立場としては、いろいろ面倒なこともあるのですよね?
あまり懇意にして、やっかみの対象になれば、その後のお沙汰にも影響しかねない…など、複雑に考えた末のことなのだろう、とも受け取りました。(^^;)

投稿: あかん隊 | 2006/12/08 00:33

■もこもこさんへ
コメント、ありがとうございます!

>三津五郎さんが、今ひとつ
…かもしれませんね。免許皆伝にしては、屋根の上から、みえみえのフェイントかける、なんて、みっともない。(^^;) とはいえ、もともと「品」のある方(ですよね?)。あまりにも俗っぽい役には向いていないのかもしれません。

投稿: あかん隊 | 2006/12/08 00:24

こちらにも・・・。
ジャニ系の方が出ているのであかん隊さんはご覧にならないのかと思っていました(笑)
さきほどまで「隠し剣 鬼の爪」を見ていたのですが、三部作の好きな順番は
「たそがれ」「隠し剣」「一分」になりました。
どれも好きなんですけれどあとは主演俳優の好み?(ウソです)

ところで、「本棚バトン」なるものを手土産に持ってきたのですが、いかがでしょうか?
(要らん事してごめんなさーい)
あかん隊さんの本棚にある本について知りたいな~と思ったのですが、お忙しい&興味が無いということであればスルーしてくださいね。
よろしくお願いいたします。

投稿: ミチ | 2006/12/07 20:28

あかん隊さん、こんばんは。
メンテ、終わりましたね。一応。。。(汗)

>「大儀」
すみません、絶句してました(笑)
そうか、シャイだったのですね。
私もまだまだ修行がたりませんなぁw

木村君は、やっぱり木村君でしたが、私もそれはそれで良いような気がしてます。彼はなんでも「木村拓哉」にしてしまうのではないかとも思えるので。集客力も間違いなし、でしょうし、貴重な人材でしょう。

投稿: たいむ | 2006/12/07 18:21

千円に引かれて初日に観てきました。良かったです。しばしば鼻につく、何をやってもキムタクな感じがやや薄かったように思います。桃井さんは「いやな女」を演じさせると一品ですね。
笹野さんの仲間が良い感じでした。ありがちな“いい人"ではないところが良いです。
三津五郎さんが、今ひとつ悪いやつ(というよりずるいやつ)感が足りないように思ったのは私だけでしょうか。
壇れいさんはほんとにキレイ。
もう一度見に行きたくなる映画でした。

投稿: もこもこ | 2006/12/05 07:00

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