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2007/04/29

神童(シネマライズ渋谷)

20070429001 脚本は、定期購読している月刊「シナリオ」で読んだ。その上で、映画を確認したいと思った作品だった。

原作がマンガ、素材としてのクラシック音楽、というのは当節流行の某テレビドラマ「○○○カンタービレ」の亜流?とも言われるかもしれないが、音楽の素材は、別として、中心になる二人は、年齢差などから考えても、単純な「恋愛感情」ともいえない、微妙なお互いへの意識がうまく描かれていた。

得していることは、「音楽」それもクラシックの名曲が使える、ということ。さらには、本物の「神童」を始めとして、プロの音楽家を使えたことだろうか。

キャストも、それぞれに特訓の成果を存分に披露している。成海璃子、松山ケンイチは、とても良かった。他に柄本明とキムラ緑子の夫婦役は、自然体で堂に入っていたし、串田和美(くしだかずよし)と吉田日出子の夫婦役も、これまた非常にしっくりくる組合せだった。

セリフも音楽もない、人物の表情だけで間合いを取るようなタイミングの取り方をしていたように感じたが、不思議な間(ま)のようなものを感じた。その絵の後にシーンが変わる。

ピアノをよけることはできないし、ピアノを演奏する人物の「絵」は、だいたいが決まり切った形になることが避けられない。これを残念に思う。演奏者の後ろ姿でも、垂直に見下ろす俯瞰でも、少し変わったアングルからのアプローチが見たかった。おのずと、演ずる俳優は、表情による演技、首や肩、腕を揺らす演技、などで表現するしかなくなる。ピアノを入れた構図の中で、横からの目線では、醍醐味は味わえず、せめて演奏者を中心に1カットでカメラを360度パンして見せる…くらいの荒技を使ってもよかったのではないか…と素人は考える。

中学生の「うた」が、同学年の生徒たちのなかで浮いて見えたのは、「神童」であるからでも、「個性的」であるからでもなく、まわりの生徒を演じた中学生たちが、あまりにも「中学生(それも、小学校から進学したばかり…のイメージ、そのまま)」であったことが大きく影響しているように思える。確かに、12~13歳といえば、実際は、あの周りにいた生徒の方がリアルなのだから無理もないが。

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「映画・テレビ」カテゴリの記事

コメント

■ミチさんへ
わお!<寒…。原作本、送っていただけるのですか?
お願いしちゃおかな~。急ぎませんので、空いていたら貸してください。成海ちゃんとケンイチくん、キャラクタといい、年齢といい、芸達者といい、もちろん脇を締める百戦錬磨の俳優陣も、とても良かったですよねぇ。やっぱりキャスティングで「勝ち!」ですね。(^^;)

ところで、海堂尊の新刊、また出ました! 今度は、白鳥が大活躍しているらしいです。購入したけど、未読です。ささっと読んで、ミチさんにトスしましょう。(笑)

投稿: あかん隊 | 2007/05/08 03:59

こちらにも・・・。
マンガやアニメが誘引とはいえクラシックが若い人の間にも浸透して行くのが嬉しいな~と思います。
CDを聞く限りでは「上手い演奏」しか聴けないので、冒頭のワオのヘタな演奏が新鮮でした。
たいむさんと同様原作を買いました。
絵柄が私好みでなかったのでちょっと焦りましたが、なかなか面白かったですよ。
この原作から、よくぞ松山ケンイチと成海璃子をキャスティングしたな~って感心しました。
やっぱりこの映画はキャスティングの勝利でしょうね~。
あ、原作本お送りしましょうか????(ご遠慮なく~)

投稿: ミチ | 2007/05/07 22:14

■狗山椀太郎さんへ
コメント&TBをありがとうございます!

>フレーズの一部を繰り返して演奏
そうでしたね。とても印象的なフレーズでした。最後の連弾シーンでも使われていて、よかった。

速く弾くのは、練習すれば…とも思いますが、プロの方には、それ以上のものが求められているのでしょう。技術もさることながら、聴く人たちに何か特別なものを印象づけられないといけないのかな? たいへんだろうと思います。>プロの方

投稿: あかん隊 | 2007/05/06 16:44

こんにちは。
先ほどは、巻き爪のほうにコメントありがとうございました。
あかん隊さんもピアノをやっておられたのですね。私なんかは小学生時代に、バイエルの最初の10ページ程度でギブアップして、それっきりでございます。だからTVなどで、速いパッセージを一気にダダダッ!と弾く姿を見ても「おお!」と感心するほかにないのです(苦笑)。
立って演奏するバイオリンのソリストだと比較的「絵」にしやすいと思いますが、動きがほとんどないピアニストを印象的に描くのは、確かに難しいのでしょうね(たしか『海の上のピアニスト』では、真上から映し出すショットがあったように記憶しています)。
あと、ベートーヴェンの「熱情」だったでしょうか、フレーズの一部を繰り返して演奏させて、印象づける演出はなかなか良かったと思います。

投稿: 狗山椀太郎 | 2007/05/05 12:31

■たいむさんへ
そっかー! 原作を?
映画の場合、成海ちゃんが、というより周りの生徒たちが、子ども顔すぎたし、小さかったし(爆)。
「うた」のピアノ演奏をやった、実在の「神童」は、友人が知っている子なのだそうですが、あまり子どもらしい感じはしないらしいです。<内緒デス(^^;)
ショパンの練習曲が流れた時、「ハノン」を思い出してしまいました。
「ブルグミュラー」もしんどかったし。速く弾ければ良い、というものでもないとは思うのですけど、指がこんがらがってしまうのです。(爆) あー、でも、もう絶対無理だな~。ピアノをやっていたことが幸いしたなと思えるのは、キーボードを叩くのが楽だった(指がばらばらに動くから小指も簡単に動く)ことくらいでしょうか?>自滅

投稿: あかん隊 | 2007/05/01 01:22

あかん隊さん、こんにちは。
映画は空気感がなんだか気持ちがよくって、ストーリーの説明不足であり、ツッコミ部分もあったけれど、さほど気にせずに観れました。
ちょっと補完したくて原作を一気に読み上げました。
原作では本当にスーパー「神童」でピアノが大好きなうたでした。でも、ピアノが大人と対等以上であるばかりに、勘違いの頭でっかち。確かに周囲の子どもたちよりは早熟であり、見た目にも浮いて感じられました。(絵が上手くないからかもしれないけど。。。^^;)
成海璃子を起用したからそうなったのか、たまたま原作と一致したのか、させたのかはわかりませんがw

投稿: たいむ | 2007/04/30 11:43

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