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2007/05/14

眉山

20070513001思いの外、といっては、失礼かもしれないが、良かった。
宮本信子の演技は、とても良い。ともすれば、演技過剰になりそうな気もしたが、キャラクタの設定が良く、強烈な印象を残してくれる。山田辰夫も、セリフのないところでの演技が光る俳優さんだとつくづく感心した。

フォーカスとボケの組合せやスローモーション。
静止画のようなシーンやセリフや音声が先んじるカット割りがイイ。観ている者を自然に、次のシーンへと導入する。
音楽ではなく、人々の話し声や街中の音、自然の音がバックに入るシーン。レンズやフィルターにも神経を払い、照明にも凝っている。
俯瞰する画で一呼吸置く。アップの画にもフォーカスしない背景と混じり合った人物を添える。お定まりになりがちな病室の雰囲気まで違って見えた。人の後ろ姿が、これほど雄弁なのだと感じさせるシーンが、いくつもある。CGではない映像の巧みさ、これにやられた。

控えめに流れる曲も、その扱いも良い。
レミオロメンのテーマ曲は、エンドロールのみ。よい曲だと思うが、この扱い方も心得ている人のものと感心した。彼らの曲は、バラードが良い。この曲では、サビの部分でメジャーからマイナーへ揺らぎが起こる。この曲調の揺れが、不思議な雰囲気を醸し出す。

余命数ヶ月…ともなれば、禁じ手の設定ではあるけれど、あまり気にならなかった。
さだまさしの原作は知らない。何しろ、苦手なタイプ。
松嶋菜々子も、どちらかといえば、苦手だが、これは宮本信子との対峙・対比から考えれば、どこかぎこちなく見える演技も、母に距離感を感じている娘としての設定では、プラスに働いている。彼女は、怖い顔、困った顔がイイかもしれない。

「恋愛」にジャンルされているらしい。確かにそうなのだが、「ひとりの女性の生き方」を見たように思う。ストーリーには、やや無理もあるし、不要と思われる部分もあるのだが、ご愛敬。大目に見た(観た)。

犬童監督といえば、「ジョゼと虎と魚たち」「メゾン・ド・ヒミコ」が、個人的には好きな作品。
これらの作品にはあった独特の「ねちっこいラブシーン」、今作はない。
監督自身、撮りたかったという「阿波踊り」が、ストーリーのクライマックスと重なり、素晴らしい。「阿波踊り」のシーンを観るだけでも、儲けた! と思えるはず。

深い想いをいだく気丈な人は、さばさばしていて素っ気なく、驚くほど快活。
「きっぱり」「すっぱり」と潔い。しかし、心中は「浄瑠璃」。夏、祭り、遠い花火の音、蛍、浴衣、そして「阿波踊り」。それだけでも、自分には相当に切なかった。

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「映画・テレビ」カテゴリの記事

コメント

■あっしゅさんへ
TBとコメントをありがとうございます。
圧巻でしたね!>阿波踊り
臨場感が凄かったと思います。撮影もたいへんだったでしょうねぇ。
踊り、よく見たら、難しそうでした。(^^;)
大沢たかお、好きなんですけど、微妙な存在でした。物語の設定のせいかな?(汗) 宮本さん、山田さんたちのような熟練した方々に混じると他の人物が霞んでしまいました。

投稿: あかん隊 | 2007/05/15 01:22

こんばんわ!
コメントありがとうございます!

いやぁ~宮本信子さんの母親役、むちゃくちゃ良かった!
独り舞台と言っても過言ではないと思ってます!
それと阿波踊りは本当に圧巻でしたね!
本当に現場にいるかのような錯覚に陥ってしまいましたよ!
松嶋菜々子と大沢たかおがいまいちでした、、、(残念)。

投稿: あっしゅ | 2007/05/15 00:46

■たいむさんへ
なんとなく、泣きたかったのかも。(^^;)
冒頭から、阿波踊りを踊りながら涙を流す宮本さんのシーンがあって、ものすごくシンパシーを感じてしまったから、もうその後は、ぼろぼろ。(自滅) お話は、どうでもいい部分も余計な部分もたくさんあったので、つまらない映像だったら、泣いた自分が恥ずかしかったかも。ストーリーより、伊丹さんを亡くしてからの宮本さんの胸中や、劇中でのキャラクタとしての存在が、ひたひた押し寄せてきてしまって。
「阿波踊り」は、劇場の大画面で観る迫力は十分にありましたよ。
ほんと、行ってみたいです、阿波踊り。期間限定では、混雑が苦手な自分は、距離よりも超えなくちゃならないハードルが高いっす。(汗)

投稿: あかん隊 | 2007/05/14 23:01

あかん隊さん、こんばんは。
大泣き・・というからたぶんこれだろうと思ってました(笑)
宮元信子はチョット観たいです。
なのだけど、(禁じ手も含めて)今の自分の心境としてあまり観たくない内容なので、たぶん今回はスルーです。
阿波踊りのシーンは、一番最初に撮影したと何かの番組で話されていました。
壮観ですよね~。一度くらい生で見たいけれど四国はちょっと遠いわ(^^;)
でも、新潟の民謡流しも人数だけならすごいんですよw

投稿: たいむ | 2007/05/14 17:05

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