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2007/12/29

「おひとりさまの老後」 上野千鶴子 著

Ohitorisama書店で平積みになっている本の中で、気になるものがあると購入してみる。
この本も、その手の範疇から外れない。

中身は、たいしたことはない。(失礼)
そもそも、各人の環境や価値観が、これほど多様化している現在において、上野氏が個人的に、ああだの、こうだの、と分析・解説しても、あてはまらないケースは、いくらでもある。

それでも、各種ある意見のうち、ひとつのサンプルとしては参考になる部分もある。
前半は、はっきり言ってつまらなくて、なかなか読み進められなかった。後半になると、比較的具体的なことに言及していて、まずまずである。

遺言書や葬式、現在どのようなことが実際にあるのか、少しはわかる。

上野氏は、めぐまれている。それは否めない。
著名人であり、経済的にも(ある程度は)恵まれた地位にあるはずだ。おひとりさまであろうとも、どこか根底のところで、選択肢なく、おひとりさまになったものと、そうではないものとの違いは、意識できないのかもしれない。

長いこと、おひとりさまを続けていて、特に困ったこともない生活をしていると、いかに寂しい、とか結婚している人たちが羨ましく思える、とかいったことがあるにせよ、既婚で家族持ちの「どうしようもない辛い部分」を感覚的に捉えることは難しいのだろう、と思う。

特に、インテリの世界に居続けてしまう人たちには、「自分たちなりの思いやり方」というのがあるようだ。どんなに気遣っているつもりでも、相手にとっては、非常に手前勝手な言動に感じられることがある、ということに気づかない。

ひとりきりで、頑張って、それなりの生活を得て、自分の生き方にも自信を持っている「おひとりさま」の扱いづらさ、そういったものがあることを、彼女たちは知らない。

友情にはメンテナンス…と言う。友だちである人たちは、メンテナンスされているのか?
主体を自身に置くことは、大切なことである。しかし、「彼女、だから仕方ない」と半ば、諦めの気持ち、小さな失望がくりかえされていることを察知することは、おそらく難しいだろう。

おひとりさま讃歌 とも言える、こうした著作の数々は、よく売れているようである。
流行なのかもしれない。フェミニストである上野氏自ら、「勝ち」とか「負け」とか、そういった価値観にまったく疑問を持っていないことが、残念であった。

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コメント

■悠さんへ

友情にも努力が必要>メンテナンス、という主旨は理解できます。ただ、自分の考えでは、意識して努力しないと保たれないような友情は、ホンモノではないような気がしています。無意識のうちに行われるものじゃないかな~、と思うんですね。

いますねぇ。ひたひたと忍び寄っていた孤独に気づいて、急に人恋しくなってしまう方。さもなくば、ご自分の都合で、「役に立つ」と思える時だけコンタクトをとってくる方。
だめですよね。そういうのは。(^^;)

投稿: あかん隊 | 2008/01/11 14:04

結局、読みました。
>友情にはメンテナンス…と言う。
人間関係が、なにも努力せずにたもたれているわけではない、って、そういうことが言いたかったのではないでしょうか、上野さん。
しかし、「男のお一人さまは、しったことじゃない」「自慢話をする男、話つづける男は、嫌われる」「亡くなったことを気づいてくれる人とコンタクトしておこう」とか、結構、私、参考になりました。

そういやぁ、定年退職後、連絡をとってくる友人がいますが、いままで、連絡せずにおいてなんだ、って気がしますもん。

投稿: 悠 | 2008/01/11 12:29

■悠さんへ
確かに。男性の「他力本願」的老後から考えれば、かなり進んだ方向性かも。同性からの評価は、厳しくなりがちですね。(^^;)

投稿: あかん隊 | 2007/12/29 23:35

この本直接は読んでないんですけど、上野さんが、雑誌に書かれたり、対談されたりしてるのは、読んでます。
男で、配偶者まかせで、「おひとりさま」の老後なんて考えてないのより、ましかなって気がしてるんですけど。

投稿: 悠 | 2007/12/29 15:54

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