« ナショナル・トレジャー リンカーン暗殺者の日記 | トップページ | 「おひとりさまの老後」 上野千鶴子 著 »

2007/12/24

ベオウルフ

200712231 (c)2007 Warner Bros.Ent.All Rights Reserved

意外。これは余韻が残った。
本来なら、苦手なCG酷使映画のはずが、さすが最古の叙事詩をもとに制作されただけのことはある。多少、似通ったシーン作りは、気になったが、どうしてどうして。
なかなかのストーリーとキャラクターではある。

グレンデル(原文では、カインの末裔、といわれているらしい)というのが、みょうちくりんな、見るも無惨な姿をしているのだが、どうして、あのようなイメージになったのか、知りたいと思った。巨人とも竜とも言われているはずのグレンデルを、わざと(?)あのような姿で描写したことの意味はなんだろう。

現代にも通じるように、また、男性客も喜ぶように脚色されている。

色香に弱い男性諸氏。秘密にしていることの自責。
「空虚になった英雄」「過去に死んだ」と思うほど、思い悩む、苦悩の王が、それでも若い側女をいとおしみ、本来の愛の対象(妃)から、己を遠ざけようとでもするかのような行為に、気の毒…と思うことも可能だが、要するに、それも「(都合の良い=同情を誘う)言い訳」に思える。しかし、己の全て(存在そのものが不実である、異形=ドラゴンとなった息子さえも)を犠牲にしても、最愛の妻(妃)と側女の命を救わんとする姿には、納得した。

「ファンタスティック・フォー」のシルバー・サーファー酷似の、ゴールド・サーファーならぬ、黄金男は、実の息子であるわけで、ドラゴンの狙いが、父親の妻や側女であることを考えれば、父親を独占したかったのか? それとも? と悩む。

北欧神話には、おもしろいお話が多い。
「ニーベルングの指環」も、北欧神話が元になっている。
昔の戦闘での殺戮は、武器が武器なだけに非常に直截的で、残酷にみえるし、実際、とても痛そうである。しかし、大量殺人が可能なわけではないし、化学兵器のように惨禍が後々まで響くこともない。だいたい、ゲーム感覚ではなかっただろう。<当たり前だが、現代の戦闘は、リアルタイムにテレビ(またはインターネット)で、その映像が公開されることも多々あって、視聴者がゲーム感覚に陥ることもなくはなかろう。

原典では、グレンデルの母親である怪物も、ベオウルフは退治(首を切り落として、貸与された剣と共に持ち帰る)していることになっているし、グレンデルと格闘したのも、沼のある洞窟内でのことであるらしい。

永遠に繰り返すかのごとく、ラストの海面に現れる、美女(というよりは、その存在)。
宝物と権力と栄光をもたらす契約とその対価。かなり魅力的である。男性でなくたって、お近づきになるのにやぶさかでない、かもしれない。子作りは無理としても。。。

しかし、男子を誕生させてしまったら、二代目は無理じゃないのか?
あのように超強力な母親がいたのでは、嫁さんは、多分来ないか、あの母親以上のものである必要があろう。どうせ誕生させるなら、女子の方が、納得できるような…。

いろいろと考察し、構想(?)とも空想ともつかない考えが、次々に浮かぶ。
これはイイ。長尺も適当で、飽きないうちに終了する。

エンドロールに、日本人スタッフの名前が散見された。気がついただけでも、5名くらい。
音楽が良かった。バラードも良かったし、メインテーマ曲も重厚で盛り上がる。
古典的なイメージが、混成合唱と通奏低音のように響く打楽器のリズムの中で、拡がっていく。音楽スタッフは、アラン・シルベストリ、グレン・バラード。グレン・バラードは、「マトリックス・リローテッド」でも仕事をしていると知って、なるほど、と思う。

「シュレック」を思わせる映像があったことも否めないし、時空軸の飛び方もいささか唐突のようであり、やっぱりファンタジーは…と思わなくもないが、通常の映像で観たこの映画、3Dでも観てみたい、と思ってしまった。

しかし、レイ・ウィンストン。素晴らしい体躯をお持ちだ。あちらの俳優は、身体作りからして全く違うものだとつくづく感心した。

|

« ナショナル・トレジャー リンカーン暗殺者の日記 | トップページ | 「おひとりさまの老後」 上野千鶴子 著 »

「映画・テレビ」カテゴリの記事

コメント

突然で申しわけありません。現在2007年の映画ベストテンを選ぶ企画「日本インターネット映画大賞」を開催中です。投票にご参加いただくようよろしくお願いいたします。なお、日本インターネット映画大賞のURLはhttp://www.movieawards.jp/です。

投稿: 日本インターネット映画大賞 | 2007/12/26 18:54

■くまんちゅうさんへ
脚色が良かったですね。うまい展開だったと思います。
シチュエーションからして、同じような場面ばかりだし、登場人物もさして多くはないですしね。一歩間違えば、ものすごくつまらないことにもなりかねなかった。
原典から、これだけのキャラクターを創造したセンスにも感心しました。他の映画を彷彿とさせる、というのも、新しいテクニックと言えそうな気がします。

投稿: あかん隊 | 2007/12/26 00:03

こちらもコメどうもでした。
そうなんです、表情は実写ぽかったけど、ナイスバディーも全部CGだったんですね。300とは少し違いますね、あちらは役者は実写で背景が全てCGでした。
判り辛いけど、実は単純な話の、叙事詩を上手く膨らませて娯楽作品にしていたと思います。

投稿: くまんちゅう | 2007/12/25 22:52

■たいむさんへ
お話がおもしろいと嬉しくなります。(^^;)
CGは、まあ、CGということで、どんなに技術を駆使してもにたりよったりの映像になるのは、仕方ないのかも。
全編CGとは、知りませんでした。いやはや…。驚きです。

■音符犬さんへ
こちらこそ、ありがとうございます。
CG…、今や全盛でしょうか? たいへんな労力だというのは、解っているのですが、技術的にはどれも似たようなものだと思うので、あとはどの部分で卓越するか、ということなのかな? 「ライラの冒険」、お話がおもしろいと良いのですけど。

投稿: あかん隊 | 2007/12/25 14:01

コメントありがとうございました。
ベオウルフなかなか良かったですね♪
次は、ライラの冒険に期待してたりする音符犬です♪
良かったら、またウチのブログに遊びに来てくださ~い

投稿: 音符犬 | 2007/12/25 00:38

こんにちはー。
随分とお気に召したようですね。
お話は、私も人間らしくって、教訓めいていて、面白かったです。
CGがいかにもCGだったのが勿体無いところかな?
これといい、パンズ・ラビリンスといい、ちょっと大人なファンタジーって良いものですね。

投稿: たいむ | 2007/12/24 15:03

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/46265/17459211

この記事へのトラックバック一覧です: ベオウルフ:

» 「べオウルフ -呪われし勇者-(BEOWULF)」映画感想 [Wilderlandwandar]
公開初日、映画の日、千円で見てきました。勝手にベオウルフ祭り第3弾はゼメキス監督 [続きを読む]

受信: 2007/12/24 05:33

» ベオウルフ/呪われし勇者 [ドッグホテルknight no papaスタッフのブログ]
ベオウルフついに見ました 見てから気づいたけど全編CGの映画だったんですね でも、すごい綺麗で顔のしわとかまで、ちゃんと表現されていましたよ この映画の見所は、やはり... [続きを読む]

受信: 2007/12/24 13:39

» 「ベオウルフ-呪われた勇者-」みた。 [たいむのひとりごと]
3Dではなく、普通のフィルム上映を鑑賞。フィルムでも十分立体感に溢れているわけで、目の焦点をスクリーンの先に合わせて見ると、3D上映モドキが楽しめた(字幕が読めなくなるので直ぐにやめたけど)。3Dでは... [続きを読む]

受信: 2007/12/24 15:08

» 映画「ベオウルフ/呪われし勇者」 [茸茶の想い ∞ ~祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり~]
原題:Beowulf いかにも本物っぽくないものがいっぱい登場してくる・・だけどいつのまにかすっかりそのデジタルシネマの、英国文学最古の英雄叙事詩の、世界に浸れる・・ ここは6世紀のデンマーク、老国王フローズガール(アンソニー・ホプキンス)が王妃ウィールソウ(ロ... [続きを読む]

受信: 2007/12/24 15:55

» ベオウルフ 呪われし勇者 [そーれりぽーと]
ロバート・ゼメキス監督のフルCGアニメ映画第三弾は、これまでのアニメらしい映像から一転、実写に限りなく近い映像表現に挑んだファンタジー巨編の『ベオウルフ 呪われし勇者』。 不気味の谷が気になるところですが、とりあえずロバート・ゼメキス監督作は全部チェックしているし、キャストも豪華なので観てきました。 ★★★★ いち早く実写映画にCGを取込んだロバート・ゼメキス監督。 CGアニメでは他に出遅れたものの、ここ数年の作品を観ていると、他とは違うアプローチで必死で巻き返しを図ろうとしているように感じる。 ... [続きを読む]

受信: 2007/12/29 00:28

» ベオウルフ/呪われし勇者 観てきました [よしなしごと]
 今回はベオウルフ/呪われし勇者を観てきました。いつも行く映画館ではこの映画を上映しているシアターは広いだけで音響良くないし、椅子が狭いし・・・。でも自由席で広いので後ろに人が座る可能性はほとんどなく、椅子を蹴られる心配もないので、映画の世界に没頭はできますが。... [続きを読む]

受信: 2008/01/11 03:15

« ナショナル・トレジャー リンカーン暗殺者の日記 | トップページ | 「おひとりさまの老後」 上野千鶴子 著 »